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◎検査内容                                                                                                                 

 

VMI(Developmental Test of Visual-Motor integration)              視覚―運動 統合発達検査

TVPS-3rd (Test of Visual-Perceptual Skills-3rd)                             視知覚スキル検査―3

DTVP-3(Development Test of Visual Perception-Third Edition)     視知覚検査―3

MVPT-4 (Motor Free Visual-Perceptual Skills-4)                             選択型視知覚スキル検査―4

DEM (Developmental Eye Movement Test)                                       眼球運動発達検査

NYSOA K-D TESTK―D                                                                   眼球運動発達検査

(New York State Optpmetoric Association King-Devick Test)

DAM (Draw A Man)                                                                               グッドイナフ人物画知能検査

フロスティグ                                                                                        視知覚発達検査

NSUCO                                                                                                    眼球運動検査

(Northeastern State University College of Optometry Oculomotor Test) 

視覚機能は、大きく次の3つに分けられます。「入力機能」、「視覚情報処理機能」、そして「出力機能」です。「入力機能」は視覚情報を正確に効率よく眼に取り入れるために必要な機能であり、視力、眼球運動機能、両眼視機能があります。 これらの機能を眼科検診として検査し、患者さんの状態を総合的にとらえます。下記の中から、患者さんに合わせた検査を複数組み合わせて施行します。

☆TVPS-4th(Test of Visual-Perceptual Skills-4th edition) ​

 TVPS-4は、幾何学図形を用いて「目で見た情報を脳でどのように処理しているか」という視覚認知能力を詳細に分析する検査です。

この検査の大きな特徴は、回答に「言葉」を必要としない点にあります。純粋に図形を視覚的に選別する課題であるため、言語の発達段階や学習経験、文化背景に左右されません。そのため、5歳のお子様から21歳の青年期の方まで、その方が持つ本来の「見え方の質」を公平に測定することが可能です。

  • 成長に合わせた精緻な統計データ 検査結果は、発達の変化が著しい12歳までは「半年単位」、それ以降は「1歳単位」という細やかな年齢区分で統計的に処理され、同年齢の集団と比較して数値化されます。

  • スコアの解釈について 各項目の評価は「標準得点」で算出されます。

    • 中央値(Median):10点

    • 平均的な範囲:7点 〜 13点 中心となる値は10点ですが、統計学的には7点から13点までが「平均的な広がり」の中に含まれます。単一の数値の良し悪しだけではなく、7つの項目のバランス(凹凸)を見ることで、お子様の得意な情報処理のスタイルや、支援が必要なポイントを客観的に導き出します。

 以下に、TVPS-4を構成する7つの下位検査の内容について詳しく解説します。

 
【1】識別<Visual Discrimination>
 
提示された図形と同じものを、複数の選択肢の中から見つけ出す「見分ける力」を測る検査です。

単に「形が見えている」だけでなく、図形のわずかな角度の違い、線の長さ、構成要素の特徴などを脳内で瞬時に処理し、正解を特定する力が求められます。この機能に弱さがあると、形を確信を持って捉えることが難しく、「なんとなくこれかな?」といった曖昧な判断になりがちです。

学習や日常生活では、以下のような「苦手さ」として現れることがあります。

  • 似た漢字やカタカナ(「シ」と「ツ」、「は」と「ほ」など)の区別に時間がかかる

  • 漢字の書き取りで、突き出す・止めるなどの細部を書き間違えてしまう

  • 算数の図形問題で、反転した図形や少し形の違う図形を同じものだと誤認する

  • 探し物をする際、目的のものを他の似た形状のものと見間違えてしまう

「注意力が足りない」と見られがちなミスも、実は「形を概念として捉える力(マッチング)」の未発達が原因であることがあります。


【2】単一図形の記憶<Visual Memory>

 視覚的な情報を一時的に脳内に留め、必要な時に照合する「視覚的短期記憶」の能力を測る検査です。

 私たちは、目に入った情報を瞬時に記憶し、次の行動へと繋げています。しかし、この記憶の保持が不安定だと、直前に見たはずの図形や状況が頭から消えてしまい、刻一刻と変化する周囲の状況を正しく関係付けることが難しくなります。

日常や学習の場面では、以下のようなサインとして現れることがあります。

  • 「あれ、何だったっけ?」と何度も見直しや確認が必要になる

  • 板書を写す際、手元を見ると直前に見た文字を忘れてしまう

  • 自分では正しいと思って行動したことが、記憶の取り違えによる「勘違い」になってしまう

一生懸命に取り組んでいるのに、記憶の「保持」の段階でつまずきが生じている場合、本人の努力不足ではなく、視覚的な情報の扱い方に特性があるかもしれません。TVPS-4では、この「記憶の定着度」を客観的に評価し、具体的な学習支援の手がかりを探ります。


【3】空間関係<Visual Spatial-Relationshis>
 
図形の向きや位置(上下・左右)を正確に認識する「空間の把握力」を測る検査です。

実は、この上下左右の感覚は、成長の過程で「自分の体」を基準にして一つひとつ積み上げてきたものです。3次元の広がりの中で、前後・左右・上下を体感として理解することで、初めて紙の上の2次元的な図形も正しく捉えられるようになります。

この感覚が未発達な状態では、以下のような「つまずき」として現れることがあります。

  • 鏡文字(左右反転)や、上下を逆さまに書いてしまう

  • 漢字のパーツ(へんやつくり)の配置が覚えにくい

  • 図形を模写する際、位置関係がバラバラになってしまう

自分を中心とした空間の広がりを正しく把握できてこそ、自分以外の「人」や「モノ」がどのような関係にあるのかを、客観的に理解できるようになります。


【4】恒常性<Visual Form-Constancy>

 対象物の大きさや向き、書体などが変わっても「同じ形である」と正しく認識し続ける力を測る検査です。

私たちは、ある図形や文字に対して「これはこういう形だ」という揺るぎない共通のイメージ(概念)を持っています。この力が安定しているからこそ、多少条件が変わっても迷わずに同一のものだと判断できます。

この「恒常性」の力が未発達だと、日常や学習の場面で以下のような戸惑いが生じることがあります。

  • 「教科書の活字」と「先生が黒板に書いた手書き文字」が同じ漢字だとパッと結びつかない

  • 少し斜めを向いたり、サイズが変わったりしただけで、知っているはずの図形が別物に見えてしまう

  • 応用問題や、いつもと違うプリント形式になると、急に解けなくなってしまう

一つひとつの情報を「別々のもの」として処理しなくてはならないため、学習において非常に大きなエネルギーを消耗してしまいます。


【5】連続図形の記憶<Visual Sequential Memory>

  複数の図形が並んだ「順番」を正確に覚え、再現する力を測る検査です。 単一図形の記憶よりも高度な処理能力が求められ、対象を「どう捉えて整理するか」という力が試されます。

視覚的な情報量が増えたとき、私たちは無意識に「丸、三角、四角…」と言葉に置き換えたり(言語化)、いくつかの図形をセットにして意味のある塊として捉えたり(チャンキング)することで、脳への負担を減らして記憶しています。

この情報の整理や戦略的な処理が苦手だと、以下のようなサインが現れやすくなります。

  • 板書の際、何度も黒板とノートを往復してしまい、書き写すのが遅い

  • 単語の綴りや漢字の書き順など、決まった「並び」を覚えるのが難しい

  • 一度にたくさんの指示を受けると、混乱して忘れてしまう

「見たまま」をすべて記憶しようとすると、脳はすぐにパンクしてしまいます。大切なのは、視覚情報を適切に処理して、扱いやすい形に変換する力です。


【6】図と地<Visual Figure-Ground>

 複雑に混み合った背景の中から、自分に必要な情報だけを「図」として浮かび上がらせ、正確に選び出す力を測る検査です。

私たちは無意識のうちに、必要な情報(図)にスポットライトを当て、それ以外の余分な情報(地)を背景として退けています。この「細部認識力」や「選択的注意力」がうまく機能することで、情報の洪水の中でも混乱せずに過ごすことができます。

この判別能力に課題があると、日常や学習の場面で以下のようなサインが見られることがあります。

  • 「目の前にあるのに見つからない」といった探し物の苦手さ

  • 教科書のページから、必要なキーワードや大切な一節をパッとつかみ取ることが難しい

  • たくさんの文字や図形が密集したプリントを見ると、どこを見ていいか分からず混乱してしまう

  • 人混みや整理整頓されていない場所で、極端に疲れやすくなる

「注意しなさい」と声をかけるだけでは解決できない、情報の「取捨選択」における特性が隠れている場合があります。


【7】閉合<Visual Closure>

 一部が隠れていたり、欠けていたりする図形から、その「完成した形」を正しく推測する力を測る検査です。

私たちは、断片的な視覚情報しかなくても、頭の中で足りない部分を補い、一瞬で全体像をイメージすることができます。この「補完する力」があることで、素早く正確に状況を把握できるのです。

この視覚閉合の力に課題があると、以下のようなつまずきが見られやすくなります。

  • 文字の書き終わりに無頓着になったり、細部を省略して書いたりする

  • 一画ずつのつながりがイメージできないため、文字の形やバランスが崩れやすい

  • 中途半端な情報から間違った全体像を連想し、早合点や誤解をしてしまう

  • 作業が最後まで完結せず、未完成のまま「できた」と思い込んでしまう

「よく見なさい」と言われても、本人の中では断片的な情報がうまく繋がっていないため、全体としての正解に辿り着くのが難しくなっているのです。

 

☆DTVP-3(Development Test of Visual-Perception-Third Edition)
視知覚技能検査―3

 この検査は、一般に使われているフロスティグ視知覚発達検査を多岐に発展させたような検査です。基本的な線から複雑な図形までを描いてもらう下位検査と、指示に沿って選択肢の中から選んで答える下位検査が交互に施行されます。前者は主に眼と手の協応を通して視覚情報処理能力が測られ、後者は内的な認知能力そのものが検出されます。
 被検査者 (検査を受ける方)にとって、「言語」を必要とせず、「図形」を視覚情報として扱う検査ですから、文化や知識に左右されず、幼いお子さんから年配の方まで受けられる検査です。
結果は、各下位検査の標準得点(平均 10)と、全体を通した総合的視覚指数(平均100)で報告します。 

 

☆MVPT-4 (Motor Free Visual-Perceptual Skills-4)
選択型視知覚スキル検査―4

 この検査は複数の幾何学図形を対象として、視知覚情報の認知能力をみるものです。
 患者さんにとって、「言語」を必要とせず、「図形」を視覚的に選別してもらう検査ですから、文化や知識に左右されず、幼いお子さんから年配の方まで受けられる検査です。
 検査結果は「視覚指数」、「パーセンタイル」、「視覚年齢」でご報告します。
 MVPT-3では、識別、単一図形の記憶、空間関係、恒常性、図と地、閉合の能力が、総合的に検出されます。

 

☆VMI(Developmental Test of Visual-Motor integration)
視覚―運動 統合発達検査

 VMIは「眼と手の協応」の能力や、それに伴う視覚的な認知能力をみる検査です。視覚からの情報を駆使し、新たに自分の手で何かを生み出すためには、見た対象に関して、適切な概念をつかめる必要があります。 

 この検査の対象は文字ではないので、文化や知識に左右されず、幼いお子さんから年配の方まで受けられる検査です。結果は2ヶ月単位の月齢別に統計処理し数値化されます。

☆DEM(Developmental Eye Movement Test)
眼球運動発達検査

 この検査は小学生から成人を対象に施行します。 
 縦(垂直)方向、または横(水平)方向にランダムな間隔で並ぶ数字の処理能力から、眼球運動の発達をみる検査です。結果は、年齢単位で同時期の多くの子どもたちのデータと比べています。この検査では、身体のバランス感覚から派生する眼球運動能力が発達していないと「行」がつかめず、斜めに数字をおったり、飛ばしてしまったり、反対に同じ箇所を何度か読んでしまうといったことが起きます。

 

☆NYSOA K-D TEST(New York State Optpmetoric Association King-Devick Test)
K―D 眼球運動発達検査

 この検査は衝動性眼球運動の発達をみる検査ですが、あらかじめ眼球運動が円滑でないことが予測される子どもの患者さんに施行しています。ステップごとに能力を補助するための工夫がしてあります。結果は、年齢単位で同時期の多くの子どもたちのデータと比較しますが、この検査で把握される内容は、検査数値そのものよりも、子どもの状態を理解し発達にあった支援を考えるデータとして有用です。

 

☆DAM (Draw A Man)
グッドイナフ人物画知能検査

 この検査は、人間の顔や身体をどう把握しているかという点から発達をみる検査です。絵の上手下手ではありません。「人」を描くためには、自分自身の身体感覚のイメージや他者の観察が必要です。 

 お友達の顔や手の表情など、何気ない身体のジェスチャーの意味を理解したり、自分からも表現できることは楽しいことです。これらは単に見えているのではなく、見て感じたり理解するもので、視覚認知能力を伴った社会性にも関係します。 

 

その他の検査

☆WISC-IV 知能検査

 WISC- IV(ウィスク・フォー)は知能検査です。複数の下位検査の評価から「全検査 IQ (いわゆる知能指数)」が導き出されます。知能指数は同年齢の子どもの平均を 100 として表される数値です。
また、「言語理解指標」「知覚推理指標」「ワーキングメモリー」「処理速度指標」という 4 つの観点から指標得点が検出されます。このように複数の下位検査を吟味することにより、その子どもの学習能力の特徴が見えてくる場合があり、その後の療育の資料となる有意義な検査です。 

 

☆読み書き障害に対するスクリーニングテスト

 発達性読み書き障害(発達性dyslexia)の診断には、客観的な学習到達度の評価と、全般的な知能検査、音韻認識や自動化、視覚認知など読み書きの習得に関与する認知機能検査、といった複数の検査が必要です。生活年齢(学年)や状態に合わせて、以下のような検査を組み合わせて行います。

【1】読み書きの到達度を評価する検査:標準読み書きスクリーニング検査(STRAW-R)

標準読み書きスクリーニング検査は、小学校1年生から高校生までを対象に標準化された日本語(ひらがな、カタカナ、漢字)の読み書きの学習到達度を評価する検査です。

 読みの流暢性をみる課題:ひらがな・カタカナの単語と非語、文章の速読

 読み書きの正確性をみる課題:ひらがな・カタカナの1文字(モーラ)および単語、漢字単語の音読と書き取り

【2】聴覚性記憶検査:Ray's Auditory Verbal Learning test (RAVLT)

日本語の有意味語を用いた、聴覚的な長期記憶力をみる検査です。発達性ディスレクシアの方は、この検査結果が良好なことが多く、よりよい学習方法を検討するためにも重要な検査です。

 再生課題:検査者の発する単語(リストA)を復唱しつつ記憶し、口頭で再生します。これを複数回行います。

 干渉課題:それまでと異なる単語(リストB)を聞いて記憶し、再生します。

 干渉直後再生課題:複数回実施した方の単語(リストA)を再生します。

 遅延再生課題:一定の時間をおいて、複数回実施した方の単語(リストA)を再生します。

【3】音韻認識能力検査

音韻認識能力とは「言語の規則(音韻体系)の通りに、語音を操作する能力」です。日本語のルール(いわゆる五十音)にしたがって、ひとつひとつの音を操作する力であり、“聞く・話す”領域だけでなく、“読む・書く”領域にも深く影響しています。主に、以下の検査項目を実施します。

 削除課題:検査者が発した単語から、指定された音だけを削除して答える課題

 逆唱課題:検査者が発した単語を逆から言う課題

【4】自動化能力を評価する検査:Rapid Automatized Naming(RAN)

提示された絵や数字を見て素早く呼称していく課題で、意味や記号に対応する語音を素早く想起する能力をみます。この検査は、STRAW-R内に含まれています。

【5】語彙理解力検査:絵画語彙発達検査(PVT-R),標準抽象語理解力検査(SCTAW)

文字の読み書きには、語彙知識の影響も大きいため、言語性意味理解力についても評価することが重要です。検査者が音声や文字で提示した単語を聞き取り、単語が示す意味と合致する絵を選ぶ課題です。


 

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